Metal Gear Survive遊びました
メタルギアシリーズはMSX2のころから遊んでいるタイトルでもあり、今回も遊びました。これまでもHIDEO KOJIMA GAMEではないタイトルは買わなかった(Acidとか)場合があるのですが、今回はどちらかというとゲームそのものというよりも、小島監督が離れたあとのスタジオがどうなってしまうのか気になって買ったようなものです。
ネットのコメントを見ていると、アンチコナミのコメントがたくさんあふれていますが、コナミが嫌いというのは具体的には誰をどう嫌っているのでしょうね…… 現在のスタジオのメンバーだって、それぞれの生活やキャリアプランがあって残ったりしたはずで、単に監督と仲がいいからついていった、仲が悪いから残ったなどと、そんな簡単なことであるはずがないです。
週末プレイヤーなので昨日ようやくストーリーの最後まで進むことができました。少しだけプログラミングを知っている立場から、感想を書いていこうと思います。ネタバレも無いとは言えないので、まだ遊んでいない方はご注意ください。
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既存の素材の流用について
素材としては、マザーベースは流用、ディーテ世界に所々現れる廃墟もMGSVに出てきたもののリメイクです。
MGSVではただの道ばたにあるオブジェクトだったポリタンクなども流用され、プレイヤーが拾う資源となっています。資源を集めてクラフトして強くなって…… というのはイマドキのゲームにはよくあるもの(自分のなかではアトリエシリーズが初出)ですが、メタルギアシリーズではこれまで本格的には採用しなかった要素だと思います。
プレイ時間が長くなりがちなのが短所ですが、Surviveではクラフト要素はそれほど複雑ではなく「素材⇒アイテム」となるだけで「素材⇒中間素材⇒アイテム」みたいなものはありませんから、すんなり楽しめました。お金を使わないと強い武器が造れず進めづらい、ということは全く無くて、この点も良心的です。
Survive、とストーリーについて
明らかに、Surviveというキーワードは、小島監督(スネーク)が不在となったあとのスタジオ(マザーベース)スタッフがどのように生き残るかということを強く意識していると感じました。
小島監督が特別なストーリーテラーですから、現在のスタジオに感動的なストーリーを求めるのは難しいのかもしれません。内容はずっとシリアスで、ハードボイルドもロマンスもこれといったものは無く、ゲームのボリューム感がさほどないこともあり、登場人物の個別の人生を語る時間がないので、ずっと暗くて必死に生き残るだけで単調に話が終わってしまった感じがあります。
舞台はGround Zerosで破壊されたマザーベースを中心に進みます。これまでのメタルギアの主要な人物は、誰も残っていません。導入部分でネイキッドスネークが少しでてきたくらいで、基本的に置いていかれた兵士たちだけで話が進んでいきます。このことも、これまでのメタルギアシリーズとは一線を画しているところです。スタジオの主要メンバーもいなくなってしまったのですから、無理もないことと思いますが…… これも、残された人たちが、自分たちにできることを模索した結果なのだと思います。
ただ、物語というのが「登場人物ができごとを通して変わっていくさま」を表現するものだとすると、今回のストーリーで変わっていく、成長していく人物は、果たしていたのかいなかったのか…… 登場人物が現在のスタジオのメンバーを映すものなのだとすると、なおさら残念なところです。小島監督が某所で自分ならゾンビは出さないと発言されましたけど、プレイヤーの対極にある悪役が感情に乏しい「ただのクリーチャー」なので、これがなおさら物語を薄くしている(彼らが何と対峙しているのかわからなくしている)、ということもあると思います。
#Peace Walkerみたいに「ファイヤー!(解雇)」しないところは、現在のスタジオの方針を表している? のでしょうか……
ゲームバランスについて
プレイヤーが気にしなくてはいけないことは、たくさんあります。飢えと渇き(しかも結構すぐに腹が減る)、そして呼吸(酸素)。
素材からクラフトしないといけないので銃をバンバン撃てないし、手持ちの武器もなんだか頼りないし…… 敵の後ろから近づくステルス要素も、クリーチャーがわらわらいるところではあまり役に立ちません。プレイヤーが隠れる物陰もほとんどありませんし、ダンボールをかぶることも実装しないことにしたようです。クリーチャーは良くも悪くも統制が取れていないので(途中で語られる設定と矛盾するような?)、これまでのように歩哨の動きを見抜いて先回りする、なんていう遊び方もありません。
そもそもディーテ世界の霧の中では常に時間に追われているので、相手の動きを冷静に見極める、などという年寄りじみた遊び方には向きません。どちらかというとザコには見つかってもいいからさっさと振り切って進む感じです。主要なザコ敵であるワンダラーは、単体ではプレイヤーよりかなり弱く、走れば振り切れる、うっとおしいだけの障害物です。
Fox Engineはグラフィックスがリアルで美しい一方で、(メモリの制限から)たくさんのクリーチャーをわらわら動かすようなゲームには、本来は向いていないのだろうと思います。Surviveをゲームとして成立させるために、敵の種類をギリギリまで減らし、車輌もヘリも無くし、廃墟ではオブジェクトも減らし、霧を深くしたことで遠くを描画する必要を無くし、霧の中では天候もなくし昼夜だけにして…… このあたりに「ありもので何とか生き残る」スタッフの苦労を想像しました。
でも、完成させるために「何を捨ててあきらめるか」はきわめて重要です。プロジェクトの失敗は、完璧を求めてできないことまで欲張ることで起こるのだと思います。マネジメントしていたのはどなたなのかな(是角Pなのかな)。苦労が偲ばれます。
#チュートリアルではウォーカーギアだけでなく車輌にも乗れるような記載があるのに結局最後まで乗った覚えがないな…… どこかにあるのでしょうか。
今後の展開について
ストーリー的には、続編に向けた伏線のようなものは感じませんでした(追記:そういえば、結局キャプテンのあの腕はなんだったの?)。Survive単体としては、やりこみ要素を追加していくようなことがあるのかな? でもビジネスモデル的にただ要素を追加するのは厳しそうに見えます。有料のDLCなら別ですけど、サイドストーリーも作りづらい構成ですし、武器の種類を増やしても敵の種類が増えないのだとすると、どうなんでしょうね。
現在のスタジオ(今更ですけど、スタジオの名称は公表されないのでしょうか)の成長が見られるような何かを期待したいと思います。
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