ウナギ価格の高騰
うなぎの価格は、近年文字通りうなぎ上りだそうです。農林中金総合研究所というところのレポートを探してみたところ、このPDFファイルの5ページにあるウナギ(活鰻)価格推移のグラフによれば、2010年1月に2000円/kg近辺だった価格は、2012年6月には5000円/kgまで上昇しており、この間のグラフは多少のふらつきはあるとはいえ値上げ続きといってよいでしょう。また、稚魚の価格はここ5年で5倍の価格に高騰しています。
ニュースでも、国際自然保護連合(IUCN)が、ニホンウナギを絶滅危惧種としてレッドリストに載せるかどうか、検討していると報道されています。
要するに人間が獲りすぎたということも大きな原因としてあるようなのですが、Newton 8月号によれば、それ以外にも、海水温が上昇するエルニーニョ現象により、ウナギの回遊ルートが変わってしまい、生まれた川に戻ってこられなくなってしまったことが影響している、という説もあるそうです。
絶滅の危険があるのであれば食べられないのはしかたがないわけですが、はいそうですか、と簡単にあきらめない人たちもいます。つまり、養殖を目指そうとする人たちです。今後漁が制限されたり禁止されたとしても、(完全)養殖物は規制の対象外になるでしょうから、こちらについては成功すれば、期待が持てます。
しかし、話はそう簡単ではないそうです。ウナギの生態は近年徐々に明らかになってきているそうですが、最近までどこで産卵が行われているのかすらわかっていませんでした。実験室レベルではようやく完全養殖が実現したとNewtonの記事(ウナギが食卓から消える?)にはありますが、商業化するにはまだエサをどう安定的に確保するのかなど課題が多いそうです。日本政府が2013年6月6日に策定した科学技術イノベーション総合戦略によれば、2020年をめどに完全養殖の商業化を目指すとあります。それまで、全国のウナギ屋がどれだけ辛抱できるか、ウナギ好きには難しい時代が続くようです。
- 出版社/メーカー: さんきん
- メディア: その他
- この商品を含むブログを見る