神様が殺してくれる 森博嗣著
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2013/06/27
- メディア: 単行本
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- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2013/06/26
- メディア: Kindle版
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森博嗣著 神様が殺してくれる 幻冬舎のハードカバー本です。1700円。久しぶりにハードカバーの本を買いました。Kindleを持っている方はそちらもおすすめです。昨日購入して、先ほど読み終わりました。
物語の舞台はフランスのリールに始まり、その後パリ、イタリアのミラノ、ドイツのフランクフルトへと展開します。事件に関係する人物は、主人公も含めていずれもどこか浮世離れしていて、美しく描写され、宗教的な雰囲気を漂わせます。オビに書かれた「女性にしては、美しすぎる」というコピーは本文にも出てきます。
物語の語り手であるレナルド・アンペールはフランス人でインターポールの職員という、なんといいますか、ミステリーとしては割とありがちな設定ではあります。このため、レナルドのもとにはただの事件の関係者という以上の情報が集まり、また警察とも積極的にかかわりを持ちながら、彼自身が事件の詳細を探ることで物語が進行します。ミステリーでありながら、情報量は割と多めです。いわゆる探偵ものとは少し違います。レナルドは事件の真相を知るためというよりも、大学の後輩であるリオン・シャレットを追うために行動するのです。
著者がうまいなと思うのは、警察の捜査に一定のリアリティをもたせて読者を説得するところにあります。登場人物の浮世離れした雰囲気に対して、警察はあくまでDNA鑑定や物証で操作を進めます。それどころか、予算のため調査が進まなかったり、別件捜査で調査が進んでいないことなどが説明されたり、法律上の制約から参考人に質問できないことや、無理に拘束できない事情があったりします。そのためストーリーは進んだり進まなかったりするわけですが、それらはリアリティをもっているので、読者を冷静にさせる面があります。
ミステリーが大好物な方にお勧めの本です。文量は多めですので、休日に腰を据えて読んでください。